初めて車を購入する際、「デザインがいい」「CMで見たから」といった理由だけで選んでしまうと、いざ乗り始めてから「使い勝手が悪かった」「維持費が高かった」と後悔することになりかねません。
車は非常に高価な買い物であり、日々の生活を支える大切な道具です。このコラムでは、初心者の方が失敗しないために、「利用目的」や「ライフスタイル」に合わせた、車の選び方の基本と、具体的な車種タイプを紹介します。
車選びの前に:3つの基本チェック項目
車種タイプを選ぶ前に、まずはご自身の状況と、車の利用計画を明確にしましょう。
✅ 予算(購入費用と維持費用)
- 購入予算: 一括払いか、ローンを組むのか?ローンを組む場合は、月々無理なく支払える金額はいくらか?
- 維持費の目安: 車両価格だけでなく、税金、保険料、ガソリン代、駐車場代といった年間維持費(約30万〜50万円程度)を確保できるか?(特に普通車は税金や保険料が高くなります)
✅ 走行頻度と走行距離
- 主に週末の買い物や短距離の移動か?(→軽自動車やコンパクトカー向き)
- 毎日の通勤や長距離移動が多いか?(→燃費の良いハイブリッド車やディーゼル車向き)
✅ 駐車環境
- 自宅の駐車場は広いか、狭いか?
機械式駐車場の場合、車の高さや幅に制限がないか?(特にSUVやミニバンはサイズオーバーに注意)
目的別!おすすめの車種タイプと選び方
あなたの主な用途に合わせて、最適な車種タイプとそのメリット・デメリットを紹介します。
ケースA:主に「街乗り」と「買い物」が中心で、とにかく経済性を重視したい
おすすめタイプ | 軽自動車 | コンパクトカー |
特徴 | 軽自動車規格の小型車。税金、保険料、車検費用が最も安い。 | 軽自動車より一回り大きく、排気量も大きい(1,000cc〜1,500cc程度)。 |
メリット | 維持費が最安。小回りが利き、狭い道や駐車場での取り回しが非常に楽。 | 軽自動車より走行安定性が高い。高速道路の長距離移動も比較的快適。 |
デメリット | 高速道路での長距離運転や多人数乗車はやや苦手。 | 軽自動車より税金や維持費が高くなる。 |
こんな人におすすめ | 初めて車を持つ人、近所への移動がメインの人、経済性を最優先する人。 | 軽自動車ではパワー不足に感じるが、維持費も抑えたい人。 |
検討すべきポイント | ターボ車を選べば高速走行も楽になる。後席の広さや、安全装備の充実度。 |
ケースB:家族での移動や、大人数でのレジャー利用が中心
おすすめタイプ | ミニバン | SUV(クロスオーバー) |
特徴 | 3列シートを備え、6〜8人乗車が可能な箱型車。スライドドアが主流。 | 車高が高く、悪路走破性や視界が良い。都会的なデザインも豊富。 |
メリット | 多人数乗車と荷物の積載能力が最強。スライドドアは子供の乗せ降ろしや狭い駐車場で便利。 | 運転席からの見晴らしが良い。デザイン性が高く、アウトドアにも適している。 |
デメリット | 車体が大きく、駐車場や狭い道での運転に慣れが必要。燃費はセダンなどに比べてやや劣る。 | 3列シートモデルもあるが、3列目は狭くなりがち。車高制限のある駐車場に入れない場合がある。 |
こんな人におすすめ | 家族の送迎や大人数での旅行が多い人。ベビーカーなど大きな荷物を載せる機会が多い人。 | 運転席からの視界を確保したい人、スタイリッシュなデザインとアウトドアの両方を楽しみたい人。 |
検討すべきポイント | 運転のしやすさ(小回り性能)、安全装備の充実度、燃費性能。 |
ケースC:通勤や長距離移動が多く、燃費と運転の快適性を両立させたい
おすすめタイプ | セダン | ステーションワゴン |
特徴 | 居住空間と荷室が完全に分かれた伝統的な乗用車。重心が低く、走行性能が高い。 | セダンと同じ走行性能を持ちながら、荷室(トランク)を拡大したモデル。 |
メリット | 長距離運転の安定性が高い。乗り心地が良い。デザインがフォーマルで高級感がある。 | セダンの安定性と、ハッチバック並みの高い積載能力を両立。 |
デメリット | トランクの開口部が小さく、大きな荷物や背の高い荷物の出し入れは苦手。 | 若者にはデザインが地味に感じられる場合がある。 |
こんな人におすすめ | 運転の快適性や安定性を重視する人。ゴルフバッグなど横長の荷物を積むことが多い人。 | 走行性能を求めつつ、キャンプや旅行などで荷物をたくさん積みたい人。 |
検討すべきポイント | ハイブリッドモデルを選べば、燃費性能がさらに向上する。 |
初心者が特に意識すべき「安全機能」の選び方
車の基本的なタイプを決めたら、次に重要なのは安全機能です。最近の車には、運転をアシストしてくれる様々な機能があります。
機能名 | 概要とメリット |
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ) | 前方の車や歩行者との衝突の危険がある場合、自動でブレーキをかけて衝突を回避・軽減する機能。最も重要。 |
誤発進抑制機能 | 駐車時などにアクセルとブレーキを踏み間違えた際、急発進を防ぎ、衝突を回避する機能。 |
車線逸脱警報/抑制機能 | 運転中に車線からはみ出しそうになったとき、警告音やハンドル操作で教えてくれる機能。長距離運転の疲労軽減にも役立つ。 |
アラウンドビューモニター | 車を上空から見たような映像で、駐車時や狭い場所での障害物との距離を把握しやすくする機能。駐車が苦手な人には特におすすめ。 |
賢い車選びのための「2つのステップ」
ステップ 1:試乗をしてみる
カタログやインターネットの情報だけでは、乗り心地や運転のしやすさは分かりません。気になる車種が見つかったら、必ず以下の点をチェックしながら試乗しましょう。
- 視界: 運転席からの前方、後方、左右の視界は良好か?
- 小回り: ハンドルを大きく切った時、小回りが利くか?
- 乗り心地: 路面の凹凸を拾った時の振動や、座席のフィット感はどうか?
ステップ 2:見積もりを比較する
車両本体価格だけでなく、オプション、諸費用(税金、保険料など)、そして下取り価格を含めた「総支払額」を複数の販売店で比較しましょう。
- ローン金利: 金利が1%違うだけでも、総支払額は大きく変わります。必ず確認しましょう。
初めての車選びはワクワクするものですが、焦らず、あなたのライフスタイルに最もフィットする「最高の相棒」を見つけてください。










種類が多すぎて選べないよー